計算ツール / 平均賃金

労基法12条・20条・26条・91条 準拠

平均賃金 計算機

平均賃金は円ではなく「銭」まで出します。解説記事は「3か月の賃金総額 ÷ 総日数」で止まりますが、実際に手を動かすと詰まるのは3か所です。分母が労働日数ではなく暦日数であること、日給・時給には別の分母で計算する最低保障額があること、そして端数が銭で切り捨て → 円で四捨五入の2段階であること。この計算機は両方の式を並べて高いほうを採り、支払額まで出します。

入力

何のために計算するか
賃金の形態
日給・時給・出来高払には最低保障額があります(労基法12条1項ただし書)。月給のみなら原則の式だけです。
算定期間の内訳

算定事由の発生した日の直前の賃金締切日から遡って3か月です(締切日がなければ発生日の前日から遡る)。事由の発生した当日は含めません。

賃金計算期間暦日数労働日数賃金総額(円)
合計

賃金総額は税・社会保険料を引く前の総支給額です。時間外の割増賃金や各種手当も含めます。ただし賞与(3か月を超える期間ごとの賃金)と臨時の賃金(結婚手当・見舞金・退職金など)は含めません

控除する期間がある(産前産後・育休・業務上の傷病など)

平均賃金が不当に低くならないよう、次の期間は日数と賃金の両方を分母・分子から引きます(労基法12条3項)。片方だけ引くと誤りです。

  • 業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間
  • 産前産後の休業期間
  • 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
  • 育児休業・介護休業をした期間
  • 試みの使用期間(ただし試用期間中に事由が発生した場合は算入します — 労基則3条)

分母は暦日数。労働日数ではない

労基法12条1項の条文です。

この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

「その期間の総日数」は暦日数です。休日も欠勤日も含めた、カレンダーどおりの日数を数えます。ここを出勤日数にすると、同じ人の平均賃金が1.5倍から2倍に膨らみます。

3か月は暦日による3か月(民法143条)で、事由の発生した当日は含めません。その日は労務の提供が完全になされず賃金も全部支払われないことが多いためです。

賃金締切日があるときは、直前の賃金締切日から起算します(労基法12条2項)。このときは直前の賃金締切日当日を含めます(民法140条ただし書き)。3月20日に解雇を通告して締切日が毎月15日なら、遡るのは3月15日からです。3月20日からではありません。

最低保障額 — 分母の違う、もう一本の式

日給制・時給制・出来高払制の人は、欠勤が多い月があると原則の式で平均賃金が不当に低くなります。そこで下限が置かれています(労基法12条1項ただし書)。

賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十

こちらの分母は労働日数です。原則の式と分母が違います。両方を計算して、高いほうが平均賃金になります。

賃金の形態最低保障根拠
月給・週給のみ(日給月給制を含む)なし。原則の式だけ
日給・時給・出来高払のみ賃金総額 ÷ 労働日数 × 60%労基法12①一
月給と歩合などの混合月給部分は暦日数で割り、歩合部分は労働日数×60%。合算する労基法12①二
混合のケースで「低いほうの部分だけ最低保障で計算する」と誤りです。条文は「その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額」と書いており、2つの式で出した額を足します

端数は2段階で、向きが違う

労基法にも施行規則にも端数の定めはありません。厚生労働省(労働局)の説明に従います。

段階単位向き
平均賃金の1日分(小数点以下2桁)1銭未満を切り捨て
実際に支払う手当の額1円未満を四捨五入

7,000.5199円 → 7,000.51円(1銭未満、小数点以下第3位で切り捨て)
7,000.51円 × 3日 = 21,001.53円 → 21,002円(1円未満を四捨五入)

— 千葉労働局「平均賃金(労働基準法第12条)」

この向きは制度ごとに違います。割増賃金(残業代)は「50銭未満切捨て・50銭以上切上げ」、減価償却と消費税は「切り捨て」。平均賃金は「銭で切り捨て → 円で四捨五入」の2段階です。他の計算の感覚で丸めると1円ずれます。

賃金総額に入れるもの・入れないもの

入れるのは税・社会保険料を控除する前の総支給額です。時間外労働の割増賃金も各種手当も含みます。入れないのは3つだけです(労基法12条4項)。

入れない(3つ)入れる(例)
臨時に支払われた賃金
結婚手当・私傷病手当・見舞金・退職金など

3か月を超える期間ごとに支払われる賃金
年2回の賞与など

通貨以外のもので支払われた賃金
現物給与で一定の範囲に属しないもの
家族手当
通勤手当
住宅手当
役職手当・精皆勤手当
時間外・休日・深夜の割増賃金
残業代の計算で除外する7つの手当とは別物です。家族手当・通勤手当・住宅手当は、割増賃金の基礎からは外しますが、平均賃金には算入します。同じ「除外」でも中身が違うので、混同しないでください。

よくある質問

解雇予告手当はいくら払えばよいですか?

原則は30日分以上です(労基法20条1項)。ただし予告をした日数だけ短縮できます(同2項)。3月20日に通告して3月31日に解雇するなら予告期間は11日なので、30 − 11 = 19日分を支払います。

天災事変その他やむを得ない事由で事業の継続が不可能となった場合、または労働者の責に帰すべき事由による解雇の場合は不要ですが、いずれも労働基準監督署長の認定が必要です。

休業手当は平均賃金の60%でよいのですか?

労基法26条は「100分の60以上」と定めているので、60%は下限です。就業規則や労働契約でそれ以上を定めていればその額になります。

なお民法536条2項による賃金請求権(使用者の帰責事由による履行不能)は100%です。労基法26条は罰則つきの最低基準を定めたものなので、両者は別の話です。

年次有給休暇の賃金はどれを使えばよいですか?

3つから選び、就業規則その他これに準ずるもので定めます(労基法39条9項)。日ごとに有利なほうを選ぶことはできません。

  1. 平均賃金(この計算機で出る額)
  2. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金(もっとも一般的)
  3. 標準報酬日額 — 健康保険法の標準報酬月額の30分の1。労使協定が必要

3の端数は条文に書いてあり、通達ではありません。5円未満の端数は切り捨て、5円以上10円未満の端数は10円に切り上げます。標準報酬月額26万円なら 260,000 ÷ 30 = 8,666.66… で、端数6.66は5以上なので8,670円です。

減給の制裁はいくらまでできますか?

2つの上限が同時にかかります(労基法91条)。

この計算機が出すのは1つ目です。複数回の制裁がある場合は、2つ目の上限も別に確認してください。

入社して3か月経っていない人はどう計算しますか?

雇入れ後の期間とその期間中の賃金総額で算定します(労基法12条6項)。賃金締切日があるときは事由発生日の直前の締切日から起算しますが、そこから遡ると算定期間が一賃金締切期間(1か月を下回らない期間)に満たなくなる場合は、事由の発生の日から計算します

なお試用期間は本来は控除する期間ですが、試用期間中に算定事由が発生した場合は控除せず算入します(労基則3条)。控除すると分母がなくなるためです。

賞与は賃金総額に入れますか?

入れません。「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」にあたるためです(労基法12条4項)。年2回の賞与が典型です。逆に、3か月以内の期間ごとに支払われるものは算入します。

入力した金額はどこかに送信されますか?

されません。計算はすべてブラウザの中で完結します。このページは外部への通信を Content-Security-Policyconnect-src 'none' で禁止しており、送信しようとしてもブラウザが遮断します。入力内容の保存はお使いのブラウザの中(localStorage)だけです。

この計算機が扱わないもの

控除期間(労基法12条3項1〜4号)が3か月以上にわたる場合、および雇入れの日に算定事由が発生した場合は都道府県労働局長の定めるところによるため計算できません(労基則4条)。日々雇い入れられる者の平均賃金(厚生労働大臣の定める金額。労基法12条7項)、労災保険の給付基礎日額のスライド改定・年齢階層別の最低最高限度額、休業補償の改訂(労基法76条2項)も扱いません。該当する場合は労働基準監督署にご確認ください。

出典

根拠法令等: 労基法12・20・26・39⑨・76・91、労基則2・3・4、民法140・143。条文の確認日 2026年8月27日。制度は改正されます。実際の支払いの前に上記の出典で最新版をご確認ください。