計算ツール / 残業代

労基法37条・労基則19〜21条 準拠

残業代 計算機

残業代は「時給 × 1.25 × 残業時間」ではありません。つまずくのはその時給をいくらにするかです。月給から外せる手当は7つだけ、割る数は所定労働時間ではなく1年間における1か月平均所定労働時間。この計算機は月給を入れるところから始めて、月60時間超の50%と深夜の重複(75%・60%)まで分けて出します。

入力

賃金
2つ以上の形態が混ざる場合は、それぞれで出した金額を合計します(労基則19①七)。
基本給に、役職手当・精皆勤手当・資格手当などすべての手当を含めた額を入れます。
家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時の賃金・1か月を超える期間ごとの賃金。この7つだけで、しかも実費や家族数に比例するものに限ります。
歩合給・出来高払がある
残業時間を含めた実労働時間の合計です。所定労働時間ではありません(労基則19①六)。
所定労働時間
土日・祝日・年末年始・夏期休暇など、その年に休むと決められている日数。毎年変わります。
始業から終業までの時間から休憩時間を引いた時間。
その月の労働時間
1日8時間・1週40時間を超えた時間の1か月の合計。60時間の線引きは自動でします。
週1日の法定休日に働いた時間。土曜などそれ以外の休日は上の法定時間外に入れます。
所定は超えたが1日8時間・1週40時間には収まる時間。割増は不要ですが通常の賃金は必要です。
割増率と端数処理の設定

就業規則で法定を上回る率を定めている場合はその率になります。下回る定めは無効です。

なぜ「時給 × 1.25」で終わらないのか

割増賃金の式そのものは単純です。

割増賃金 = 1時間あたりの賃金 × 割増率 × 時間数

面倒なのは3か所です。1時間あたりの賃金をいくらにするか割増率が重なったときにいくつになるか、そして端数をどちらに倒すか。解説記事の多くは1つ目の式を書いて終わっていますが、金額がずれるのはたいていこの3か所です。

1時間あたりの賃金 — 割る数は所定労働時間ではない

月給制の場合、労基則19条1項4号は「月における所定労働時間数」で割ると定めますが、続けて月によって所定労働時間数が異なる場合は「1年間における1か月平均所定労働時間数」で割るとしています。カレンダーの都合で毎月の日数が変わる以上、通常はこちらです。

1か月平均所定労働時間 = (365日 − 年間所定休日)× 1日の所定労働時間 ÷ 12

厚生労働省(東京労働局)のパンフレットの例で確かめます。

基本給 235,000円、精皆勤手当 8,000円、家族手当 20,000円、通勤手当 15,000円
年間所定休日 122日、1日の所定労働時間 8時間

(365 − 122)× 8 ÷ 12 = 162時間
(235,000 + 8,000)÷ 162 = 1,500円

— 東京労働局「しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編」

家族手当20,000円と通勤手当15,000円が分子から落ちている点に注目してください。この2つを入れたままだと時給は1,716円になり、残業代が毎時間200円以上ずれます。

基礎賃金から外せる手当は7つだけ

労基法37条5項と労基則21条が定める限定列挙です。ここに無い手当は、名前が何であれ算入します。

外せる(7つ)外せない(例)
家族手当
通勤手当
別居手当
子女教育手当
住宅手当
臨時に支払われた賃金
1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
役職手当
精皆勤手当
資格手当・技能手当
営業手当
物価手当・地域手当
一律定額で払う「家族手当」「住宅手当」
名称ではなく実質で判断します。住宅手当を「全員に一律2万円」で払っているなら、それは住宅手当ではないので外せません。家賃の一定割合や「家賃5〜10万円なら2万円、10万円超なら3万円」のように住宅費用に応じて算定されるものだけが除外できます。家族手当も、家族数に関係なく一律なら算入します。

割増率 — 重なったときの数字は施行規則に書いてある

重複したときの率を足し算で推測する必要はありません。労基則20条が数字で定めています。

区分割増率根拠
法定内残業(所定超・1日8時間以内)割増なし(通常の賃金 1.00)労基法37①の対象外
時間外労働25%以上(1.25)平成6年政令第5号
時間外労働のうち月60時間超50%以上(1.50)労基法37①ただし書
法定休日労働35%以上(1.35)平成6年政令第5号
深夜労働(22時〜5時)25%以上労基法37④
時間外 + 深夜50%以上(1.50)労基則20①本文
時間外(60時間超)+ 深夜75%以上(1.75)労基則20①かっこ書
法定休日 + 深夜60%以上(1.60)労基則20②
法定休日に時間外の25%は足しません。法定休日労働は35%(深夜が重なれば60%)で完結します。8時間を超えて働かせても、その日については別途の時間外手当は不要です。

月60時間超の50% — 起算日から累計して線を引く

2023年4月1日から、中小企業にも適用されています。「中小企業は25%」と書いてある解説記事はこの日より前のものです。

判定は月の起算日(就業規則で定める。多くは毎月1日)からの累計です。累計が60時間を超えた時点から、超えた分に50%を適用します。

60時間の算定に法定休日の労働時間は含めません。ただし法定休日以外の休日(週休2日制の土曜など)に働いた時間は含めます。

労使協定を結べば、引き上げ分(50% − 25% = 25%)の支払いに代えて有給の休暇(代替休暇)を与えることもできます(労基法37③・労基則19条の2)。この計算機は代替休暇を扱いません。

端数処理 — 切り上がる向きの四捨五入

労基法にも施行規則にも端数の定めはありません。実務は昭和63年3月14日の通達(基発第150号)に従います。減価償却や消費税と違い、こちらは0.5で切り上がる向きです。

対象扱い
1日ごとの労働時間切り捨てられません。15分未満切捨てのような運用は違法です(切り上げは可)
1か月の時間外労働・休日労働・深夜業の各合計時間数30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げることができます
1時間あたりの賃金額・割増賃金額の1円未満就業規則等に定めたうえで、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げることができます
1か月の区分ごとの割増賃金額の1円未満同上

どちらも「できる」であって義務ではありません。定めが無ければ端数処理はせず、そのまま計算します。この計算機の既定も「端数処理しない」です。設定で切り替えると、丸めない場合との差額を並べて表示します。

よくある質問

所定は7時間です。7時間目から8時間目の1時間は残業代が出ますか?

割増(25%)は出ませんが、賃金は出ます。労基法37条が割増を求めるのは法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えた分だけです。所定7時間の会社で8時間働いた場合、7〜8時間目は「法定内残業」として通常の賃金(1.00倍)を払います。この計算機では「法定内残業」欄に入れてください。

ただし深夜(22時〜5時)に及べば、法定内であっても深夜割増25%が必要です。管理監督者であっても同じです。

週の途中で早退しました。週40時間はどう数えますか?

実際に働いた時間で数えます。厚生労働省の例では、所定7時間・週6日の人が火曜に1時間残業(9時間)し、水曜に2時間早退(5時間)した場合、まず火曜の1時間は1日8時間超なので時間外。そのうえで週を通算すると、すでに時間外にした1時間を除いて41時間となり、40時間を超える土曜の1時間も時間外になります。合計2時間です。

ポイントは1日単位で時間外にした分を週の通算から除くことです。除かないと同じ時間を二重に数えてしまいます。

土曜に出勤しました。休日手当の35%になりますか?

会社が法定休日を日曜と定めているなら、土曜は35%になりません。法定休日は週1日(または4週4日)で足り、それ以外の休日に働いた時間は通常の時間外労働として扱います。週40時間を超えていれば25%、月60時間を超えていれば50%です。

振替休日と代休は同じですか?

違います。振替休日は、あらかじめ休日と勤務日を交換してから働かせるもので、その日は休日ではなくなるため休日手当は不要です。ただし振替の結果その週が40時間を超えれば、超過分の時間外手当(25%)が必要です。

代休は、交換せずに法定休日に働かせ、事後に休みを与えるものです。働いた日は法定休日のままなので35%の休日手当が必要です。

管理職なので残業代が出ないと言われました

労基法41条2号の管理監督者にあたる場合に限り、時間外手当と休日手当が不要になります。ただし深夜手当は管理監督者にも必要です。

そして管理監督者かどうかは肩書きでは決まりません。通達は「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とし、実態で判断するとしています。判断要素は、部下の採用や人事の権限があるか、出退勤が本人の裁量に任されているか、地位にふさわしい待遇(基本給・役職手当・賞与)を受けているか、などです。営業上の理由で全員が「課長」の部署、といった例は該当しません。

固定残業代(みなし残業)が付いています

固定残業代を払っていても、実際の残業時間から計算した額のほうが多ければ差額を払う必要があります。また、それが残業代の定額払いであることを就業規則等に明記していることが前提です。過不足を翌月に繰り越して相殺することはできません。この計算機で出た額と、給与明細の固定残業代を比べてください。

歩合給がある場合の計算が違うと聞きました

違います。固定給は所定労働時間で割りますが、歩合給はその月の総労働時間(残業時間を含む)で割ります(労基則19①六)。分母に残業時間が入っているぶん、歩合給部分については通常の賃金(1.00)がすでに支払われている扱いになり、割増分(0.25など)だけを足せば足ります

厚生労働省の例では、歩合給190,000円で総労働時間190時間(うち時間外18時間)の場合、190,000 ÷ 190 = 1,000円が基礎時給、1,000 × 0.25 = 250円が1時間あたりの割増額、250 × 18 = 4,500円がその月の割増賃金です。支払うべき賃金は 194,500円になります。

入力した金額はどこかに送信されますか?

されません。計算はすべてブラウザの中で完結します。このページは外部への通信を Content-Security-Policyconnect-src 'none' で禁止しており、送信しようとしてもブラウザが遮断します。入力内容の保存はお使いのブラウザの中(localStorage)だけです。

この計算機が扱わないもの

変形労働時間制(1か月単位・1年単位・フレックスタイム制)、事業場外みなし労働時間制、裁量労働制、代替休暇、労基法41条1号(農林水産業)・3号(監視断続的労働)の適用除外、労基法別表第一の特例事業(週44時間)、年少者・妊産婦の規制、月45時間・年360時間の上限規制(36協定)、付加金・遅延損害金。該当する場合は労働基準監督署または社会保険労務士にご確認ください。

出典

根拠法令等: 労基法32・35・37・41、労基則19・19の2・20・21、平成6年政令第5号、昭和63年3月14日基発第150号。条文の確認日 2026年8月27日。制度は改正されます。実際の支払いの前に上記の出典で最新版をご確認ください。