計算ツール / 時間外労働の上限規制

労基法36条 準拠

時間外労働の上限規制 チェッカー

上限は5つあり、休日労働を足すものと足さないものが混ざっています。とくに厄介なのが「2〜6か月平均80時間」で、これは各月を末尾とする長さ2〜6か月の窓を全部見る必要があり、12か月ぶんで45通り(前年度の実績があれば60通り)になります。手作業で確かめきるのは現実的ではありません。12か月の実績を入れると、すべての窓を機械的に判定します。

入力

前提
2024年3月末までの猶予は終了しています。通常の建設工事は「原則」です。
36協定の対象期間の初日が属する月。表示のラベルに使うだけです。
実績(時間)

時間外は1日8時間・1週40時間を超えた時間。休日は法定休日(週1日)に働いた時間です。土曜など法定休日以外の休日に働いた時間は時間外に入れてください。

時間外休日合計判定
対象期間 計

前5か月は前の対象期間の実績です。2〜6か月平均は条文上「直前の」期間を含むため、ここを空けたまま年度で区切って判定すると見落とします。

上限は5つ。休日労働を足すかどうかが違う

ここを取り違えると判定が逆になります。年間の上限(360時間・720時間)に休日労働は入りません。逆に、月100時間と2〜6か月平均80時間には入ります

上限対象休日労働根拠
1か月 45時間(限度時間)時間外のみ含まない労基法36④
1年 360時間(限度時間)時間外のみ含まない労基法36④
1年 720時間(特別条項)時間外のみ含まない労基法36⑤
1か月 100時間未満時間外+休日含む労基法36⑥二
2〜6か月平均 80時間以内時間外+休日含む労基法36⑥三
45時間を超えられるのは 年6か月まで時間外のみ含まない労基法36⑤後段

特別条項が無ければ、45時間・360時間がそのまま上限です。特別条項を結ぶとこれを超えられますが、かわりに残りの4つがかかります。月100時間未満と2〜6か月平均80時間は、協定に何と書いてあっても守らなければなりません。条文が「協定で定めるところによつて…労働させる場合であつても」と書いているためです。

100時間は「未満」、80時間は「超えない」

条文の言葉が違います。境界の向きが逆なので、ちょうどの数字が出たときに結論が変わります。

二 一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間
  百時間未満であること。

三 …(略)…一箇月当たりの平均時間
  八十時間を超えないこと。

— 労働基準法36条6項

実績結論
1か月の時間外+休日が ちょうど100時間違反(100時間「未満」でなければならない)
1か月の時間外+休日が 99時間59分適法
2〜6か月平均が ちょうど80時間適法(80時間を「超えない」)
2〜6か月平均が 80時間1分違反

2〜6か月平均が45通りになる理由

条文はこう書いています。

対象期間の初日から一箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の一箇月、二箇月、三箇月、四箇月及び五箇月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の一箇月当たりの平均時間

— 労働基準法36条6項3号

読み下すと、各月について、その月を末尾とする長さ2・3・4・5・6か月の窓をとり、そのすべてで(時間外+休日)の月平均が80時間以内でなければならない、という意味です。12か月ぶんなら 11+10+9+8+7 = 45通り。前の期間の5か月ぶんも入れれば 60通りです。

「直前の」なので、対象期間の初日より前の月も窓に入ります。年度の最初の5か月を判定するには前年度の実績が要ります。年度で区切って12か月だけ見ると、年度をまたぐ窓を見落とします。上の入力欄に「前5か月」があるのはこのためです。

限度時間は変形労働時間制で下がる

1年単位の変形労働時間制(労基法32条の4。対象期間が3か月を超えるもの)を採っている場合、限度時間が読み替わります(労基法36条4項かっこ書)。年6か月の判定に使う基準も同じく42時間になります。

通常1年単位の変形労働時間制
1か月45時間42時間
1年360時間320時間

よくある質問

建設業は上限規制の対象外ではないのですか?

2024年4月から原則どおり対象です。猶予されていたのは2024年3月31日までで、現在も特例が残るのは「工作物の建設の事業(災害時における復旧及び復興の事業に限る)」だけです(労基法139条1項)。この場合に適用されないのは「1か月100時間未満」と「2〜6か月平均80時間」の2つで、年720時間や年6か月の制限はかかります。

「建設業は対象外」と書いてある解説記事は2024年3月以前のものです。

自動車の運転の業務はどう違いますか?

1年の上限が960時間になり(労基法140条1項)、1か月100時間未満・2〜6か月平均80時間・年6か月の制限は適用されません。月45時間の限度時間そのものは残ります。なお、これとは別に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)による拘束時間・休息期間の規制があります。この計算機は告示のほうは扱いません。

研究開発の仕事なら何時間でもよいのですか?

労基法36条11項により上限規制は適用されませんが、「何時間でもよい」わけではありません。労働安全衛生法66条の8の2により、週40時間を超える労働が月100時間を超えた場合は、本人の申出がなくても医師の面接指導が義務です(違反には罰則があります)。対象は「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」で、一般的な情報システムの保守や既存製品の改良は含まれません。

法定休日に働いた時間はどこに入れますか?

「休日」欄です。ここでいう休日は週1日(または4週4日)の法定休日だけを指します。週休2日制の土曜など、法定休日以外の休日に働いた時間は法定労働時間を超えていれば時間外労働なので、「時間外」欄に入れてください。

管理監督者や裁量労働制の人も対象ですか?

管理監督者(労基法41条2号)は労働時間の規定が適用されないため、上限規制の対象外です。ただし労働安全衛生法66条の8の3により労働時間の状況の把握は必要で、月80時間超なら面接指導の対象になります。

裁量労働制と事業場外みなし労働時間制は対象です。みなし時間が法定労働時間を超える部分は時間外労働として上限規制がかかります。

上限を超えたらどうなりますか?

労基法36条6項に違反した使用者には6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます(労基法119条1号)。36協定の届出があっても免責されません。また、協定で定めた時間を超えて働かせた場合は32条違反(同じ罰則)になります。

入力した数字はどこかに送信されますか?

されません。計算はすべてブラウザの中で完結します。このページは外部への通信を Content-Security-Policyconnect-src 'none' で禁止しており、送信しようとしてもブラウザが遮断します。入力内容の保存はお使いのブラウザの中(localStorage)だけです。

この計算機が扱わないもの

医業に従事する医師の別枠(労基法141条・厚生労働省令の時間)、坑内労働その他健康上特に有害な業務の1日2時間の制限(労基法36条6項1号。日単位のデータが要るため)、自動車運転者の改善基準告示、36協定そのものの記載事項・届出(労基則17条)、月45時間超の月に必要な健康福祉確保措置、労働安全衛生法の面接指導の要否判定。該当する場合は所轄の労働基準監督署にご確認ください。

出典

根拠法令等: 労基法32の4・36③④⑤⑥⑪・119①・139〜142、労働安全衛生法66の8の2・66の8の3。条文の確認日 2026年8月27日。制度は改正されます。実際の運用の前に上記の出典で最新版をご確認ください。